遺伝子組換え作物
遺伝子組換え作物とは、商業的に栽培されている植物(作物)に遺伝子操作を行い、新たな遺伝子を導入し発現させたり、内在性の遺伝子の発現を促進・抑制したりすることにより、新たな形質が付与された作物のことです。
食用の遺伝子組換え作物では、除草剤耐性、病害虫耐性、貯蔵性増大、などの生産者や流通業者にとっての利点を重視した遺伝子組換え作物の開発が先行し、こうして生み出された食品を第一世代遺伝子組換え食品とよびます。
これに対し、食物の成分を改変することによって栄養価を高めたり、有害物質を減少させたり、医薬品として利用できたりするなど、消費者にとっての直接的な利益を重視した遺伝子組換え作物の開発も近年活発となり、こうして生み出された食品を第二世代組換え食品といいます。
遺伝子組換え作物の作製
遺伝子組換え作物の作製には、開発過程の高効率化や安全性に関する懸念の払拭のために様々な手法が取り入れられています。
たとえば、遺伝子の組換わった細胞(形質転換細胞)だけを選択するプロセスにおいて、かつては医療用、畜産用の抗生物質と選択マーカー遺伝子としてその抗生物質耐性遺伝子が用いられていました。
現在ではそのような抗生物質耐性遺伝子が遺伝子組換え作物に残っていることが規制されており、それ以外の選択マーカー遺伝子を利用したり、選択マーカー遺伝子を除去したりといった技術が開発されています。
栽培国と作付面積
遺伝子組換え作物の栽培国と作付面積は年々増加しています。2008年現在、全世界の大豆作付け面積の70%、トウモロコシで24%、ワタで46%、カノーラで20%がGM作物です。
限定的ではあるが2009年には日本も遺伝子組換え作物の栽培国となっています。
遺伝子組換え作物の開発・利用について、賛成派と反対派の間に激しい論争があります。
主な論点は、生態系などへの影響、経済問題、倫理面、食品としての安全性などです。
生態系などへの影響、経済問題に関しては、単一の作物や品種を大規模に栽培すること(モノカルチャー)に伴う諸問題を遺伝子組換え作物特有の問題と混同して議論されることが多いです。
食品としての安全性に関して、特定の遺伝子組換え作物ではなく遺伝子組換え操作自体が食品としての安全性を損なっているという主張があります。そのような主張の多くが科学的な批評に耐えられる論拠を伴っていません。