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遺伝子とは

ヒトをはじめとし、動物、植物、細菌など全ての生物はそれぞれの姿、形、性質を親から子へと次世代に伝える仕組みを持っています。
全ての生物の構成単位は細胞からなり、どんな生物の細胞も基本的な構造はほとんど同じようなものです。
細胞膜に包まれた細胞の中には核があり、核の中には染色体が入っています。この染色体に「親から子へ遺伝する」という形で受け継がれていく遺伝の基本単位、すなわち「遺伝子」が含まれています。遺伝子の本体は「DNA(デオキシリボ核酸)」という物質でできています。

DNAはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)と呼ばれる4種類の物質(塩基)がたくさんつながり、1本の鎖のような形をしています。
この塩基の並び方が一種の暗号になっており、例えば、G-T-Cという並び方は、「グルタミン」というアミノ酸を意味します。
このように、塩基3個の並び方が1つのアミノ酸に対応しており、この暗号どおりに、アミノ酸をつなげていくと、最終的に蛋白質ができあがります。
蛋白質は生物の発生・分化・成長等の調節をしたり、酵素などとして働きます。

遺伝子組み換え技術

遺伝子組み換え技術とは細菌などの遺伝子の一部を切り取って、その構成要素の並び方を変えてもとの生物の遺伝子に戻したり、別の種類の生物の遺伝子に組み入れたりする技術です。
この技術を利用すれば、特定の生物がもっている遺伝子を異なる種の生物に組みこんで、必要とする性質を持ったタンパク質をつくらせることができます。
農作物や細菌などに、本来作り得ない、有用な酵素などを作らせることもできます。動物の遺伝子を植物の細胞に組みこむことすら可能な技術です。

アグロバクテリウム法

最初に開発された方法はアグロバクテリウム法という土壌細菌を使って植物に遺伝子を組み込む方法です。
アグロバクテリウムには、「核外遺伝子」(プラスミド)と呼ばれる小さな環状のDNAが存在し、その内部には「T-DNA」という領域があり、アグロバクテリウムが作物に感染すると、その作物の細胞のDNAに入り込むという性質を持っております。
そこでこの性質を利用し、プラスミドの一部を切りとって、そのかわりに取り入れたい遺伝子をプラスミドにつなぎ合わせた後、T-DAN領域内に「プロモーターに連結した目的遺伝子」を導入すれば、目的遺伝子が作物細胞中のDNAに組み込まれ、目的のタンパク質を作るようになります。
プロモーターとは遺伝子の機能を開始させ、タンパク質を作らせるスイッチとなる働きを持つ、特定のDNA領域です。
なお、プラスミドは、遺伝子を運ぶ役目をするので、運び屋DNAとも言われています。