ファストフードの問題
ハンバーガーに象徴されるファストフードは、安価で手軽に食べられる外食としてアメリカからまたたく間に全世界に広がりました。日本でもファストフード店のない街を見つけることは困難なくらい、私たちの生活の一部となっています。
ファストフードは動物性たんぱく質と油脂分に偏っているため、体に必要な栄養素をとることができません。また間食としてとられることも多く、肥満の原因にもなります。
本家のアメリカでは肥満率が約30%にも達し、心臓病をはじめ肥満が原因の医療費増加が社会問題になっています。
その肥満の原因の一つにファストフードも挙げられており、2002年には10代の肥満児2人が「ハンバーガーを食べ過ぎて肥満になった」としてマクドナルド社を訴えたほどです。
スローフード
1986年にイタリアのある街で、米国系ファストフード店の開店への反対運動が起こりました。それを契機に、効率至上主義のファストフードに代表される食文化への批判と、伝統的な食文化を守ることをめざしたスローフード運動が提起され、やがて国際運動へと発展しました。
スローフードの意味は文字通り「ゆっくりと味わいながら食べる食事」ということですが、単に食事にとどまらず、気ぜわしく活動するアメリカ型のライフスタイルを拒否し、ゆったりした「スローライフ」を取り戻そうという趣旨がこめられています。いわば食文化復権運動というべきもので、アメリカや日本でも運動の輪は広がっています。
具体的には、食のグローバリゼーション(画一的な食材と製法、味覚など)に反対し、地域の農業に根ざした食材の多様化と伝統的調理法、地域の味というものを復権させようという活動です。スローフードは世界の文化の多様性を発展させる運動といってもよいでしょう。